(回答)
原子力発電所で使用する前のウラン燃料には、核分裂を起こしやすいウラン(ウラン235)は3~5%パーセント程度含まれているに過ぎず、残りの大部分は核分裂を起こしにくいウラン(ウラン238)で構成されています。このウラン燃料が原子力発電所で使用されると、燃料中のウラン238の一部が、核分裂により発生した中性子を吸収し、核分裂を起こすプルトニウム(プルトニウム239)に変化します。
原子力発電所で使用したウラン燃料に含まれているウランとプルトニウムを再利用するために、再処理を行ないます。この再処理では、使用済みのウラン燃料から、エネルギー資源として利用できない核分裂生成物を高レベル放射性廃棄物として取り除き、エネルギー資源として利用できるウランとプルトニウムを回収します。回収したウランとプルトニウムは、MOX燃料に加工し、現在稼動している我が国の原子力発電所(軽水炉)で再利用することとしています。この軽水炉によるプルトニウムの利用を『プルサーマル』と呼んでいます。
プルサーマルにより、ウラン資源の利用効率は、再処理しない場合の天然ウラン(確認埋蔵量約60年)の利用効率約0.5%に比べ、0.75%となりより効率的にウラン資源が活用できます。
さらに、ウラン238からプルトニウムへの転換効率に優れた高速増殖炉(FBR)を用いれば、ウランの利用効率は60%に向上するとの試算もあり、ウラン資源の利用が千年単位で伸びるほどの効果が期待されています。
なお、MOX燃料も再処理することにより、再利用できることが確認されています。
原子燃料の流れは、輪になっており、原子燃料サイクルと呼んでいます。
《原子燃料サイクルの概略図》
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