(質問)再処理政策、再処理コスト、再処理の安全性などについて教えてください。


 

Q1.
 ご承知のごとく、国と地方合わせて703兆円・一人当たり700万円もの借金財政となり、財政改革を唱える小泉政権をしても、うまくいっていない状況下で、人類の寿命をはるかに超える長期管理を要する核廃棄物の安全対策、処理に膨大な財政支出が見込まれています。現在の原子力政策は、財政上から見て、年金の破綻、少子高齢化などを考慮に入れた長期的視点からどのように考えていますか。

(回答)

 サイクル事業を含めた原子力発電の推進は、長期的なエネルギーセキュリティーの確保、資源の有効活用、環境負荷の低減(放射能量の低減)の観点から、原子力長計やエネルギー基本計画においても国の重要な政策とされており、今後も着実な開発を期待しています。
 再処理工場は,我が国のエネルギーセキュリティーの根幹をなすサイクル事業の要の施設であり、長期的な視点に立って、着実に推進していくことが必要であると考えており、今後も積極的な情報公開、広報活動を行うとともに様々な機会を通じて県民の皆様にご説明するなど、地元のご理解を得ながら事業を進めてまいりたいと考えています。

Q2.
 原子力委員会、財界、政治家などからみても今までの原子力政策を転換し、風力や液体燃料を見直す意見、財政の面から再処理工場の稼動について疑問視する意見が強くなりつつあります。また、雪印、浅田農産、三菱自動車など企業モラルが問われる問題が続発しています。電力会社なども事故隠しで昨年は全ての原発が停止するという事態を招いたにもかかわらず、今度は、電事連や経済産業省が再処理コストの試算を公表しなかった問題が発生しています。また、関西電力美浜3号機でズサンな管理により、11名もの死傷者が出る痛ましい人災が起きました。そうした企業体、行政は安全を口にする資格がないと考えますが、貴社はどのように考えますか。。

(回答)

 当社は、使用済燃料受入れ・貯蔵施設の漏水等の問題を踏まえ、品質保証の徹底的な点検を実施し、その結果により必要な補修を行い、品質保証体制の改善・強化を図るとともに、引き続き品質保証活動に全力をあげて努力しているところです。
 サイクル事業を含めた原子力発電の推進は、長期的なエネルギーセキュリティーの確保、資源の有効活用、環境負荷の低減(放射能量の低減)の観点から、原子力長計やエネルギー基本計画においても国の重要な政策とされており、わが国の置かれたエネルギー状況を踏まえれば、今後もその位置付けは変わらないと考えています。
 また、この国の政策に基づき再処理事業を着実に進めることが当社の責務であると考えております。
 なお、関西電力美浜発電所の事故は、11名も死傷するという痛ましい事故であり、当社としても大変重く受け止めています。
 現在、事故原因の徹底的な究明が行われているが、当社としては、今後の調査状況を踏まえ、必要があれば対応を検討していきたいと考えております。

Q3.
 3年前の回答の中で原子力発電については、ウラン資源をより有効に活用するために使用済燃料からウランとプルトニウムを取り出し、原子燃料として再処理することはエネルギーの安定確保のため重要であるもとのとして、再処理工場の建設が進められているとの回答を受けましたが、その後も、変わりありませんか。

(回答)

 わが国はエネルギー源をほとんど輸入に頼っていることから、エネルギー源の確保は現在、将来ともに最重要な課題となります。海外においては、資源の賦存量や政治、経済、社会的な背景が異なっていることから、再処理路線を選択していない国もありますが、資源小国でありながら資源の大消費国である日本では、環境問題に配慮しつつ、将来のエネルギー源を確保する上から、着実に再処理-リサイクルを進めていくことが重要であると考えています。

Q4.
 プルサーマルが仮に行われたとしてもMOX燃料は海外のものと聞き及んでいます。六ヶ所再処理工場で取り出されたプルトニウムを使用するのでしょうか。

(回答)

 プルサーマル計画については、平成15年12月に電気事業連合会が準備の整った電力会社から順次、導入し2010年度までに、合計で16~18基の導入を目指して取り組むと公表されています。
 プルサーマルが16~18基導入された段階ではプルサーマル用の需要は六ヶ所再処理工場からの供給を上回り、海外で回収された核分裂性プルトニウムを考慮しても、六ヶ所再処理工場で回収したプルトニウムは着実に利用されるものと認識しております。

Q5.
 原発とLNG火力発電との運転年数単価で開きが大きくなっていることをいかがお考えでしょうか。

(回答)

 当社は、ウラン濃縮、低レベル放射性廃棄物の埋設、使用済燃料の再処理、返還高レベル放射性廃棄物の保管を事業としております。
 従いまして、原子力発電と火力発電の運転年数単価についてお答えする立場にはございません。

Q6.
 フランスのUP2とUP3での再処理実績は、それぞれ1.0万tU(1976年~2001年)と0.7万tU(1989年~2001年)であり、2002年の0.1万tを合せても1.8万tUにすぎません。UP3のコピーである再処理工場では40年間800tU/年のフル操業で3.2万tUを再処理する計画なのでしょうか。

(回答)

 六ヶ所再処理工場は、許認可上、年間の最大処理量800tU、1日当たりの最大処理量4.8tUとしています。
 今後、六ヶ所再処理工場の運営は、運転計画等を策定し、それに基づいて行っていくことになります。なお、技術導入元であるフランスCOGEMA社UP3では、計画どおり順調に操業を行っています。

Q7.
 再処理工場の排出物によりトリチウムやクリプトンが全量放出されますが、人体環境に影響がないとの判断ですが、万一、影響があったらその責任は誰がどのように取るのでしょうか。

(回答)

 六ヶ所再処理工場では、洗浄、ろ過、蒸発処理など国内外の最良の技術を用いて、できる限り放射性物質を取り除きますが、一部除去できないものは、排気、排水とともに管理しながら環境中へ放出します。放出においては、管理目標値を設定して、これを超えないように管理していきます。
 これによって、操業時に施設周辺で受ける放射線量は、最大でも年間約0.022ミリシーベルトと評価しており、法令の線量限度(年間1ミリシーベルト)と比較しても十分に低く、その安全性は安全審査で確認されています。また、この値は日常において自然界から受けている放射線量(世界平均:年間約2.4ミリシーベルト)の約1/100に相当し、自然放射線の地域差(例えば、岐阜県と青森県の差:年間約0.33ミリシーベルト)などと比較しても非常に小さな値です。このような放射線量では、人体に影響を与えることはないと考えています。

Q8.
 再処理工場が稼動することになると年間8t回収されるプルトニウムは何処に保管をしどのように使用されるのでしょうか。

(回答)

 使用済燃料を再処理し取り出したプルトニウムは、ウランと混合し、ウラン・プルトニウム混合酸化物粉末(MOX粉末)とした後、容器等に収納・封入し、貯蔵設備に貯蔵します。 
 このウラン・プルトニウム混合酸化物粉末(MOX粉末)は、将来、MOX燃料に加工後、原子力発電所で利用されることになります。

Q9.
 すでに30年以上稼動しているフランスのラアーグ再処理工場周辺では、小児白血病の発生確率が平均の3倍にもなっているとのレポートが発表され、再処理工場の稼動や放射能の放出を規制する動きも出ています。イギリスのセラフィールド再処理工場では放射能に汚染されたアイリッシュ海を巡ってアイルランド政府をはじめ周辺国から抗議されています。青森県でもそれを踏まえて六ヶ所再処理工場周辺での環境汚染、人体への影響が懸念され、1999年から青森県小児ガン等のガン調査を実施していると聞いております。青森県から中間報告あるいは結果報告がありましたか。ありましたら内容をお知らせください。

(回答)

 六ヶ所再処理工場からの放出により施設周辺で受ける放射線量は、最大でも年間約0.022ミリシーベルトと評価しており、法令の線量限度(年間1ミリシーベルト)と比較しても十分に低く、その安全性は安全審査で確認されています。また、この値は日常において自然界から受けている放射線量(世界平均:年間約2.4ミリシーベルト)の約1/100に相当し、自然放射線の地域差(例えば、岐阜県と青森県の差:年間約0.33ミリシーベルト)などと比較しても非常に小さな値です。このような放射線量では、白血病になることはありえないと考えています。
 なお、英仏政府は、再処理工場周辺において小児白血病の発生率が高いとする報道や論文を受けて、それぞれ専門家による委員会を設置し調査を進めてきています。それらの委員会は、これまで調査結果について、報告書を発表していますが、いずれも、白血病の発生率の増加は認められることはあっても、再処理工場からの放射性物質の放出等や被ばくとの間に有意な因果関係は認められないと結論付けています。また、増加の原因として、周辺地域への人口混合によるウイルス感染の可能性などが示唆されています。
 青森県においては、国との連携の下に「青森県小児がん等調査事業」が平成11年度より行われています。この調査は、再処理施設の操業開始前から小児がん等に関するデータを継続的に収集・蓄積し、他のがんデータと併せて総合的な分析・評価を行い、その結果を県民に公表することを目的に実施されています。現在、平成12年1月~平成15年12月までの集計データが公表されています。

Q10.
 湾岸戦争、イラク侵攻で米軍が使用した劣化ウラン弾はウラン濃縮工場の廃棄物を利用しています。被爆国である私達は住民の被害を危惧しています。先に新聞報道で財界・政界で武器製造、輸出が論じられるようになった現在、貴社はどのようにお考えでしょうか。

(回答)

 わが国の原子力の研究、開発及び利用は、平和目的に限ることが、原子力基本法に基本方針として定められています。
 この基本方針のもと、六ヶ所ウラン濃縮工場で発生した劣化ウランは、将来のMOX燃料への利用等に備え、適切に貯蔵しています。