(回答)
資源の乏しい日本は、エネルギー源のほとんどを輸入に頼っており、将来にわたって安定して電力をお届けしていくために、水力・火力・原子力をバランスよく組み合わせた電源の確保が必要です。なかでも原子力は、一度使い終わった燃料を繰り返して使うことが資源の有効活用ができること、発電過程において殆ど二酸化炭素を出さないので環境にやさしいことから我が国は原子力を進めています。
・主要国のエネルギー輸入依存度
太陽光や風力などの新エネルギーは枯渇しないクリーンなエネルギーであり、電力会社は自然エネルギーの普及・促進に取り組んでいますが、安定的に大量のエネルギーを得るには課題があります。また、燃料電池についても現在開発段階であり、コスト低減、信頼性の向上、長寿命化などの課題があります。そもそも燃料電池に必要な水素をいかにして安価に手に入れるかという課題があるのです。
・原子力と自然エネルギーの比較
自然エネルギーによる発電は、原子力発電と比べるとコストが高く、広大な面積が必要です。しかし、離島や年間を通して風が強い場所など、地域の特性によっては効果があります。
・原子力を自然エネルギーに置き換えた場合のコスト比較(例)
Q2.
原子力発電所で発電を終えた後の使用済燃料の再処理は必要なのですか。
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(回答)
わが国はエネルギー源をほとんど輸入に頼っていることから、エネルギー源の確保は現在、将来ともに最重要の課題です。海外においては、資源の埋蔵量や政治、経済、社会的な背景が異なっていることから、再処理路線を選択していない国もありますが、資源小国でありながらエネルギーの大消費国である日本では、環境問題に配慮しつつ、将来のエネルギー源を確保する上から、技術力によってエネルギーを生み出す再処理-リサイクルを進めていくことが重要です。原子力発電は既にわが国の発電電力量の大きな部分を占めており、2002年度では総発電電力量の31.4%を占めるに至っています。また、世界的にエネルギー需要は増大し、二酸化炭素による地球温暖化などの地球環境問題が今後ますます深刻化することが予想される中にあって、原子力発電の重要性はさらに増してくるものと考えられます。
しかしながら、ウラン資源にも限りがあり、また我が国にはウラン資源はほとんど存在しないことを踏まえると、ウラン資源を最大限に利用することが必要です。そのため、使用済燃料を再処理し回収したプルトニウム、ウランを再び利用していくという原子燃料サイクルを今後とも推進していくことが重要です。石炭、石油、天然ガスなどの「化石燃料」が、使えば使っただけなくなってしまい、補充のしようがないのに対し、ウランの場合は使用済燃料を再処理し、燃え残りのウランとプルトニウムを回収して燃料に再利用することができます。「燃焼→使用済燃料再処理→燃料製作→燃焼→使用済燃料再処理……」というサイクルを繰り返すことで、ウラン資源の利用効率が大幅に増加します。
今後の世界の人口増加とそれに伴うエネルギー需要の増大を考慮すると、再処理技術の開発は非常に重要なものと考えられます。
Q3.
使用済燃料の再処理はどのように行われているのですか。 |
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(回答)
全国の原子力発電所で使用済みとなった燃料は頑丈な使用済燃料輸送容器(キャスク)に入れて再処理工場に運ばれます。使用済燃料は放射能を弱めるため貯蔵プールに冷却・貯蔵されます。十分に放射能が弱まった後、約3~4センチの長さに細かくせん断し、燃料の部分を硝酸で溶かしてウラン、プルトニウム、核分裂生成物とに分離します。さらにウラン溶液とプルトニウム溶液を精製、脱硝してウラン酸化物とウラン・プルトニウム混合酸化物の2種類の製品を作ります。
なお、再処理工程で生じる核分裂生成物を含む廃液は強い放射能を帯びているため、高レベル放射性廃棄物と呼ばれます。この廃液は特殊ガラスと混ぜ合わせて、ステンレス製の容器(キャニスター)に流し込み、冷やして固め・安全に管理します。
(クリックすると拡大してご覧になれます)
Q4.
再処理施設の安全性はどのように保たれているのですか。 |
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(回答)
サイクル施設では、多重防護の考え方(異常の発生が防止されること、仮に異常が発生したとしてもその波及、拡大が抑制されること、さらに異常が拡大すると仮定してもその影響が緩和されること)に基づき、火災、放射性物質の漏洩、臨界等に対して、十分な安全対策を施しています。また、平常運転時においても、一般公衆への放射線の影響を極力低くおさえるため、放射性物質の放出量を低減するとともに、周辺環境における放射線・放射能を測定することにより、安全を確認しながら操業を行っています。
Q5.
放射性廃棄物の問題について私たちや国がやらなくてはならないことはなんですか? |
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(回答)
今日、我々が享受している便利な暮らしは、経済活動やそれを支えるエネルギーの消費によって成り立っており、このことが環境に大きな影響を与えています。エネルギー(Energy) 、環境(Environment)、経済 (Economy)のバランスを保ちながら今後も人類が豊かな生活を送るためには何が必要なのかについて、広い視点からから考える必要があります。
Q6.
放射性廃棄物処分の問題はどのようになっていますか。 |
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(回答)
放射性廃棄物は次の2種類に分類されます。
1.低レベル放射性廃棄物
原子力発電所から出る廃棄物の中で放射性物質の濃度が低いもの、これを低レベル放射性廃棄物といいます。例えばこれは古くなった作業着・交換した機器・洗濯水などのもので、焼却・圧縮などにより容積を減らし、セメントやアスファルトで固めてからドラム缶に密封します。そして原子力発電所の個体廃棄物貯蔵庫で管理した後、当社の低レベル放射性廃棄物埋設センターで埋設処分しています。
2.高レベル放射性廃棄物
原子力発電所で使い終えた燃料から、再利用できるウランやプルトニウムを回収すると、核分裂生成物を含む廃液が残ります。これは放射性物質の濃度が高いので高レベル放射性廃棄物といいます。この廃液はガラスと混ぜて溶かし、固めて「ガラス固化体」にします。ガラスは水に溶けにくく、化学的に安定しているため、放射性物質を長期間変化することなく閉じ込めるのに優れています。ガラス固化体は冷却するため、当社の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターで30年から50年間貯蔵することになっています。その後、人間の生活環境に影響を及ぼさない地下300メートルより深い安定した地層中に処分する予定です。 なお、高レベル放射性廃棄物の最終処分場に関しては、2000年に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(最終処分法)」が成立し、処分事業を行う
「原子力発電環境整備機構(NUMO)」が設立されました。2002年には、概要調査を行う公募が始まり、最終処分に向けての活動は着実に進められています。
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